「まあ、少しチョロチョロ流れてるだけだし、そのうち直そう」。トイレの水が流れっぱなしになっていることに気づきながらも、日々の忙しさにかまけて修理を後回しにしてしまう。そんな経験がある方もいるかもしれません。しかし、この「少しだけ」という油断が、後々大きな後悔につながる可能性があるのです。これは、都内の一軒家に住む山田さん(仮名)が実際に経験した話です。山田さんは、数週間前から自宅のトイレの水が完全に止まらないことに気づいていました。便器内に常に少量の水が流れ続け、微かな水音がしていました。原因はおそらくタンク内の部品の劣化だろうと考えましたが、「修理は面倒だし、水道代もそれほど変わらないだろう」と高を括り、放置していました。ところが、翌月の水道料金の請求書を見て愕然とします。普段の月の2倍近い金額が記載されていたのです。チョロチョロと流れ続けるわずかな水でも、24時間365日続けば、相当な量の無駄水となり、水道料金に跳ね返ってくることを痛感しました。しかし、悲劇はそれだけでは終わりませんでした。ある週末、家族で外出先から帰宅すると、玄関にまで水が染み出しているのを発見。慌ててトイレに駆けつけると、床一面が水浸しになっていたのです。原因は、劣化が進んだタンク内の部品(ボールタップ)が完全に故障し、給水が止まらなくなり、オーバーフロー管からも排水しきれなくなった水がタンクから溢れ出てしまったことでした。幸い、マンションではなかったため階下への被害はありませんでしたが、トイレとその周辺の床材は水を吸ってしまい、張り替えが必要になりました。さらに、湿気によって壁紙にもカビが発生し、その補修費用もかさみました。結局、水道料金の増加分に加え、高額な修繕費がかかり、山田さんは「あの時すぐに修理しておけば…」と深く後悔することになったのです。この事例は、トイレの水が流れっぱなしの状態を放置することの危険性を明確に示しています。目に見える水道代の増加はもちろんのこと、部品の劣化が進行し、より深刻な水漏れ事故につながるリスクがあるのです。トイレの異常に気づいたら、決して軽視せず、早急な点検と修理を行うことが、経済的な損失と住まいのダメージを防ぐために不可欠と言えるでしょう。