シャワーヘッドからポタポタと水が漏れ続ける原因の多くは、シャワーヘッド自体ではなく、水を制御している水栓(蛇口)の内部にあります。水栓の内部構造はタイプによって異なりますが、ここでは代表的なシングルレバー混合水栓とサーモスタット混合水栓を例に、その仕組みと水漏れの関係性を少し詳しく見ていきましょう。シングルレバー混合水栓は、一本のレバーハンドルを上下左右に操作することで、水の吐水・止水、流量、温度を調整します。この心臓部となっているのが「バルブカートリッジ」と呼ばれる部品です。カートリッジ内部には、セラミック製のディスクなどが組み込まれており、レバーの動きと連動してこれらのディスクがスライドすることで、水とお湯の通り道を制御しています。レバーを下げて止水位置にしてもシャワーからポタポタと水が漏れる場合、このバルブカートリッジ内部のセラミックディスクが摩耗したり、異物が挟まったり、あるいはカートリッジ本体に亀裂が入ったりして、水の通り道を完全に塞ぐことができなくなっている可能性が高いです。この場合、バルブカートリッジごと交換する必要があります。次に、浴室でよく使われるサーモスタット混合水栓です。これは、温度調節ハンドルで設定した温度のお湯を安定して供給できる便利な水栓です。内部には、温度を自動調整するための「温度調節ユニット(サーモユニット)」と、吐水・止水を制御するための「開閉バルブ(切替弁、止水弁とも呼ばれる)」が組み込まれています。シャワー使用後、開閉バルブを操作して水を止めてもポタポタと漏れる場合は、この開閉バルブの内部部品(主にパッキンやスピンドルなど)が劣化・摩耗していることが原因と考えられます。開閉バルブは、ハンドル操作によって内部の弁が上下または回転し、水の通り道を物理的に塞ぐ仕組みですが、長年の使用により部品がすり減ったり、パッキンが硬化したりすると、完全に止水できなくなるのです。この場合は、開閉バルブユニット、あるいは内部の消耗部品を交換することで修理が可能です。このように、シャワーの水漏れは、水栓内部の見えない部品の劣化によって引き起こされることがほとんどです。構造を理解することで、より的確な原因究明と対処が可能になります。