私たちが普段あまり意識することのない水道の元栓(量水器そばの止水栓)ですが、家全体の水の供給をコントロールする非常に重要な設備です。この元栓が正常に機能しなくなると、水漏れ修理や長期不在時の止水などができなくなり、大変不便です。ここでは、元栓の基本的な仕組みと、故障のサインについて解説します。水道の元栓には、主に「ハンドル式(ゲートバルブやグローブバルブなど)」と「レバー式(ボールバルブなど)」の二つのタイプがあります。ハンドル式は、ハンドルを時計回りに回すことで、内部の弁(円盤状や球状のもの)が上下または回転し、水の通り道を徐々に塞いでいきます。完全に閉まるまでには複数回ハンドルを回す必要があります。一方、レバー式は、レバーを90度回転させることで、内部のボール状の弁が回転し、水の通り道を素早く開閉できるのが特徴です。どちらのタイプも、長年使用していると内部の部品が摩耗したり、水垢やサビが付着・固着したりすることで、正常に機能しなくなることがあります。これが「元栓の故障」です。では、どのようなサインが現れたら故障を疑うべきでしょうか。最も分かりやすいサインは、「ハンドルやレバーが異常に固くて回らない、または逆に軽すぎて手応えがない」状態です。固い場合は内部での固着、軽い場合は内部部品の破損が考えられます。また、「元栓を完全に閉めても、家の中の蛇口から水が止まらない」という症状も、内部の弁が完全に閉まりきっていない、あるいは破損している可能性を示す重大なサインです。さらに、「元栓のハンドルや本体の根元付近から水が滲んでいる、漏れている」場合も注意が必要です。これは、内部のパッキン(シール材)が劣化している証拠であり、放置すると漏水が悪化する可能性があります。これらのサインが見られた場合、元栓はすでに正常な状態ではないと考えられます。特に、水を完全に止められない状態は、緊急時に深刻な問題を引き起こす可能性があるため、放置は禁物です。元栓の修理や交換は、専門的な知識と技術、そして専用の工具が必要となるため、必ず水道局指定工事店などの専門業者に依頼するようにしましょう。定期的に元栓の状態を確認し、異常を感じたら早めに対処することが大切です。