トイレの水が流れないどころか便器内に逆流してくるという現象は、誰もが遭遇したくない恐ろしいトラブルですが、その原因を正しく理解しておくことが冷静な対処への第一歩となります。トイレが逆流する原因として最も一般的なのは、排水管や便器の排水路における物理的な詰まりです。トイレットペーパーを一度に大量に流しすぎたり、水に溶けないティッシュペーパーやペット用の砂、あるいはスマートフォンや掃除用具などの固形物を誤って落としてしまったりすることで、水の通り道が塞がれてしまい、行き場を失った水が便器内に戻ってくるのです。また、節水のためにタンクの中にペットボトルを入れている場合や、大洗浄ですべきところを小洗浄で流す習慣がある場合も、水流の勢いが不足して汚物が排水管の途中で留まってしまい、それが蓄積して詰まりを引き起こすことがあります。さらに、屋外の排水桝(ます)に木の根が入り込んでいたり、油汚れが蓄積して管が狭くなっていたりすることも、逆流の隠れた原因となり得ます。これらに加えて、天候要因も無視できません。特に近年増えているゲリラ豪雨や台風の際には、短時間に大量の雨水が下水道に流れ込むことで処理能力を超えてしまい、その圧力によって家庭の排水管を通じてトイレの水が押し戻される「下水逆流」が発生することがあります。この場合、トイレからゴボゴボという異音が聞こえたり、下水の臭いが上がってきたりするのが特徴です。このように逆流の原因は、日常的な使い方の問題から建物の構造的な問題、さらには自然災害によるものまで多岐にわたるため、何が原因かを状況から推測し、適切なアプローチを選ぶことが重要です。安易に水を流すと溢れ出してしまう危険があるため、原因が特定できないうちはレバーを回さず、まずは水位の変化や異音の有無などを観察することから始めましょう。
トイレの水が逆流する主な原因と仕組み