「水の流れが悪い」という症状は、本格的な詰まりの前兆である可能性があり、放置してはいけない、重要なサインです。専門業者を呼ぶ前に、まずは自分で確認できる、いくつかの基本的なチェックポイントがあります。原因を特定することで、簡単な調整だけで、問題が解決することもあるのです。まず、最初に確認すべきなのが、「トイレタンクの中」です。タンクの蓋を、ゆっくりと、そして慎重に持ち上げて、中の状態を観察してみましょう。注目すべきは、「タンク内の水位」です。タンクの内側には、通常、「WL(ウォーターライン)」と記された、標準水位を示す線があります。タンクに水が溜まった状態で、この線よりも、明らかに水位が低い場合は、タンクから便器へ流れる水の量が、そもそも不足していることになります。これが、洗浄力不足の原因です。水位が低い原因としては、タンク内に水を供給する「ボールタップ」という部品の不具合や、浮き球の位置のずれなどが考えられます。次に、タンクの中の部品に、何かが引っかかっていたり、外れていたりしないかを確認します。特に、タンクの底にある、便器へと水を流すための栓である「フロートバルブ(ゴムフロート)」と、それを操作するレバーとを繋ぐ「チェーン」が、絡まっていたり、長すぎたり、あるいは短すぎたりすると、バルブが正常に開かず、十分な水が流れません。チェーンの長さを調整するだけで、劇的に流れが改善するケースは、非常に多いです。そして、三つ目のチェックポイントが、トイレの給水管についている「止水栓」です。この止水栓が、何かの拍子で、あるいは以前の修理の際に、少し閉められたままになっていると、タンクに水が供給されるスピードが遅くなり、結果として、一度流した後に、次の水が溜まるまでに、異常に時間がかかる、という症状に繋がります。マイナスドライバーを使って、止水栓を反時計回りに少し開けてみることで、改善される可能性があります。これらの、タンク内の水位、部品の状態、そして止水栓の開き具合。この三点をチェックしても、なお流れが改善しない場合は、いよいよ、便器の内部や、その先の排水管で、詰まりが進行している可能性が高まります。その場合は、問題が深刻化する前に、早めに専門家の助けを求めるのが賢明です。